北欧から帰国して感じた日本の異質性~「人ぞれぞれ」が難しい非合理社会~

(↑ 観光客で賑わうベルゲン 2022年8月26日撮影)

3年ぶりの海外旅行先はノルウェーにした。理由は、コロナ後の世界をこの目で確かめてみたかったからだ。ノルウェーは、世界に先駆けて今年2月に正常化宣言をし、すべてのコロナ規制を撤廃した。テレビでも取り上げない。入国に際する検疫措置も撤廃され、国際観光も正常化させた。街中では公共交通機関を含むすべての場所でマスクは任意となった。

(↑市民や観光客で賑わうオスロ 2022年8月27日)

大部分の人々はノーマスクだが、している人も一部いる。自由な国において「人それぞれ」は健全なことだ。公衆衛生上、私権が制限されるのは極めて限定的な場合のみ許される。そして何より、世界中からやってきた観光客で賑わっている。ノルウェー政府の観光政策担当者に取材して、驚いたのは欧米ではリベンジ消費は既に一巡し終わっているということ。そして2021年4月には2030年を目標にしたポストコロナの新たなビジョンを再設定し、走り始めているということだった。ちなみに日本は2016年に策定したビジョンがコロナで外部環境が激変したのに宙ぶらりんのまま。


2週間後、帰国すると鎖国の江戸時代にタイムスリップしたようだった。飛行機から降りた途端多くの検疫職員に取り囲まれ、書類の確認を求められた。MySOSというアプリを使ったので入国自体はスムーズだったが、驚いたのはスタッフの多さだ。人件費が安いからなのか、臨時職員が検疫の手続きに大勢で当たる。その物々しさは、まさに箱根の関所である。


ノルウェーがコロナを風邪扱いにしたのは、オミクロン株への置き換わったことを契機にリスクと成果を天秤にかけて検討した上での合理的な判断によるものだ。日本では、何かを決めるのに空気や人間関係に多分に影響される。日本にいると気づかないが、世界から眺めると日本は「人ぞれぞれ」が許されない非合理な社会である。


(↑ 乗り継ぎ地のイスタンブール空港 2022年8月22日撮影)

鮫島卓研究室 SAMETAKU-LAB

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