プロフィール

鮫島卓 Taku Sameshima さめたく

旅人(世界70ヶ国)
駒沢女子大学 観光文化学類 准教授(観光学・経営学・イノベーション論) 
帝京大学 経済学部 観光経営学科 兼任講師
ANA旅と学びの協議会アドバイザー
澤田経営道場 「イノベーション論」講師
種子島観光協会「キュリオシティアイランド構想」企画アドバイザ―
第2次稲城市観光基本計画策定委員長
TABIPPO旅大学「旅の可能性を探究する観光学」メンター 


略歴

1973年鹿児島県生まれ。立教大学大学院観光学研究科博士前期課程修了。専門は観光学、イノベーション論。世界70ヶ国を訪れた旅人。1996年HIS入社。同社で経営企画、商品企画、エコツーリズムデスク所長、新規事業開発やハウステンボス再生事業担当。モンゴル建国800周年記念事業実行委員会事務局長。「旅行」と「教育」を結合させたスタディツアーの取組みで観光庁長官賞受賞。2016年より現職。


研究・業績 ~研究成果を社会実装へ~

観光学、経営学、特に観光領域のイノベーション論を専門に研究を行っています。長らく旅行会社やテーマパークで商品開発や新規事業開発に関わっており、「スタディツアー」の商品企画で観光庁長官賞を受賞しました。研究中のテーマは「観光経験価値」の実証と理論化、旅行とイノベーションの関係に関する研究です。「行動経済学のマーケティングへの応用」、観光経験の「感動分析」、観光経験の「不便益」を調査をしながら、「旅の学びの効用」を高める技法についても研究をしています。観光経験を遊びや娯楽として考えることは当然ですが、その効用はもっと可能性に満ちたものです。それを実証・理論化して、さらにわかりやすく言語化することができれば、もっと充実した旅をする人が増えて人生や社会を豊かにできるのではないかと考えています。理想は「旅をするので会社(学校)休みます」と堂々と言える社会です。

また社会的役割として観光研究の成果を社会実装する「観光工学」という分野を構想しています。とかく学会と産業界には大きな壁があるもので、観光も同様です。豊かな人生、よりよい社会を実現するために、垣根を超える橋渡し役を微力ながら貢献したいと考えます。現在、学会と産業界の垣根を越えた活動として、ANA旅と学びの協議会(企業コンソーシアム)アドバイザー、種子島観光協会の「キュリオシティアイランド構想(観光庁事業採択)」の企画アドバイザーなど社会活動にも関わっています。


大学での担当科目は下記です。
観光文化入門、観光マーケティング論、観光政策論、旅行業実務論、海外旅行研修、国内旅行研修、国内インターンシップ実習


《研究業績・著書》
・『旅行企業の経営戦略~経営戦略が生産性に与える影響~』,2003
・「旅行商品におけるカーボンオフセットと地球環境保全の取組み」『企業の CSR 最前線』交通新聞社,
・「低成長時代の観光のまなざし」『国立公園』自然公園財団, 
・『世界の絶景さんぽ』二見書房(編著)
・『ツーリズムを活用したイノベーション創発に関する研究』駒沢女子大学研究紀要,2019
・『創造的消費者との共創による旅行商品開発に関する研究』駒沢女子大学研究紀要,2020
・『観光経験における感動分析の試論』駒沢女子大学研究紀要,2021
・『観光デザイン論と観光研究』駒沢女子大学教科書シリーズ,2021
・『旅行業実務論』駒沢女子大学教科書シリーズ,2021
・『観光マーケティング論』駒沢女子大学教科書シリーズ,2019
・『観光政策論』駒沢女子大学教科書シリーズ,2019


《所属学会》
・日本観光研究学会
・日本観光ホスピタリティ教育学会
・日本国際観光学会
・日本マーケティング学会
・日本感性工学会


《主な講演実績》
・2017年ツーリズムEXPO「持続可能な地域観光開発セミナー」ファシリテーター
・2018年東京地下鉄メトロの卵 講演「観光におけるイノベーション」
・2018年稲城市観光シンポジウム 講演「観光振興とシビックプライド」
・2019年全国市議会議長総会 講演「世界目線の都市観光政策」
・2019年ハワイ会ジャパン講演「ハワイ観光を再考する」
・2019年種子島大学主催観光シンポジウム講演「観光を活かす7つのポイント」



《駒沢女子大学 鮫島ゼミ》
駒沢女子大学 鮫島ゼミの共通テーマは「地域活性化と観光マーケティング」です。学生はグループ研究と個人研究の2つを取り組みます。グループ研究では、「観光と文化の関係」や「デスティネーション(観光地域)・マーケティング」に関する専門書の輪読を行い、読書力の向上と専門知識の習得を目指します。またマーケティング実践学習として、DMO・政府観光局・観光協会などの連携事業を2年かけて行います。また、個人研究としては学生自らが関心のあるテーマをみつけて、研究の進め方や調査法を学びながらゼミ論文を仕上げることを目標とします。

(過去の取組み例)
・HISとの共同開発「遊学旅」プロジェクト
・稲城市観光協会 観光資源調査および観光プロモーション活動
・タイ政府観光庁とのスタディツアー商品開発事業


ご挨拶・ちょっと長めの自己紹介
~「旅をするので休みます」と言える社会に~

この度は、駒沢女子大学観光文化学類 准教授・鮫島卓(さめしまたく)の「SAMETAKU LAB(鮫島卓観光デザイン研究室)」にお越しいただき、ありがとうございます。

「SAMETAKU LAB」は、僕の研究・教育・ゼミ活動・社会貢献などの活動をみなさまにお知らせするサイトです。


「旅をするので休みます」と言える社会にしたい―

あなたは「旅をするので休みます」と堂々と言えますか。この日本でこのセリフを言える人がどれだけいるでしょうか。本当は旅行なのに別の理由で有給休暇をとった人はどれだけいるでしょうか。旅行は、余暇、遊びであると思えば、堂々と「旅をするので休みます」とは言えないものです。しかし、私にはどうしても腑に落ちません。なぜ納得できないのかという理由を少しお話します。


さて、私は東シナ海に面する鹿児島県最西南端の坊津(ぼうのつ)という小さな漁村で生まれ育ちました。小学3年生のある時にヨットで世界一周中の四人家族に出会った時の原体験が現在の探求の原点です。2年間かけて世界を巡る旅をしていたオーストラリア人4人家族。子供は私と同じくらいの小学生。「2年間も学校を休んで勉強はどうするの?」の私の質問に対して母親が答えた言葉が「世界を旅することが勉強よ」。これが今でも私の頭の片隅に残っています。

旅は学びー。この両親は少なくともそう考えていました。2年間という人生の貴重な歳月をかけるほどオーストラリア人家族と、有給休暇の理由にできないことの現実とのギャップがどうしても消化できないまま時が過ぎていきました。


それ事件以来、外国に関心をもつようになり、授業中に先生の目を盗んで、ひたすら日本地図や世界地図を模写している地図好きの小学生になりました。趣味は、地球儀を眺めること。今でも地球儀を眺めてどこに行こうか考えている時が最も幸せな時間です。


高校時代の社会科は世界史を専攻していましたが、「世界史」と「日本史」を分ける歴史の学び方に疑問を持ち、自分なりに「世界の中の日本史」を独学していました。オーストラリアに訪れたことはなかったけれど、いつも頭の片隅であのオーストラリア人家族から見た世界を妄想する自分がいました。世界の出来事と日本の出来事は全く関係ないようで、実はつながっていることが多く、謎解きの感覚で「世界史」「日本史」両方の教科書を使って自分で学んでいました。


大学生になると解き放たれた鳥のように旅へ。グレイハウンドバスを使って全米周遊が最初の海外の旅でした。貧乏な旅です。以来、「なんでも見てやろう」の精神で全国47都道府県・世界70ヶ国を旅してきました。世界一周もしました。


たいしてやりたいことも見つからないまま、「30ヶ国訪問」というアピールだけで当時ベンチャー企業だったHISに入社し、販売・ツアー企画など様々な業務を経験。経営企画にも関わり、創業者の澤田秀雄さんの近くでリアルな「経営」を実践しながら学べたのは大きな収穫でした。そのおかげで創業経営者と操業経営者の違いもよくわかりました!

30歳を前に悶々とする中で、今の仕事を見つめ直して「旅行」と「経営」「地域活性化」を体系的に学べないかと考えていたところに「観光学」という新しい学問に出会い、働きながら大学院に通い、観光学修士となりました。働きながらというのは大変きつかったのですが、批判的に物事を探究する研究姿勢や新たな人脈が広がったのは言うまでもありません。 


その後、仕事ではモンゴルに駐在して堺屋太一さんらと政府主催の国際イベントの企画実施したり、帰国後ハウステンボスの再生事業、国内バスツアー、エコツアーやスタディツアーなど新規事業開発に関わり、70名の部下を抱える部署の責任者としてマネジメントも経験しました。

新規事業開発した旅行商品の中で「スタディツアー」というものがあります。スタディツアーとは、旅前・旅中・旅後までをひとつの学習プログラムと考え、人と人の交流をエッセンスにした新しい旅の形です。チェルノブイリ原発アウシュヴィッツ強制収容所、バングラディシュのグラミン銀行マーシャル諸島、NASA、デンマークのフォルケホイスコーレ、カンボジアの孤児院など訪れる場所は観光地ではありません。観光地を巡るだけの既存の教育旅行のアンチテーゼでしたが、試行錯誤しながら至ったひとつの形でした。スタディツアーに参加する旅行者は、参加者は大部分がひとり参加でした。またツアーでは、旅行後に写真交換会やお土産交換会をする再会機会を設けます。それが意外にも大変に盛り上がります。写真やお土産を酒の肴に旅を再現できる脳内旅行です。その時の参加者の皆さんは本当に幸せそうです。そして同じ経験をしているにもかかわらず、ひとそれぞれ違う写真、違う土産を持ち寄ります。旅の経験の共有がこんなにも多くの気づきを与えてくれる。これはひとり旅では実現できない団体旅行ならではの経験価値だと確信しました。人と人の交流は、旅人にとって意図しない想定外を意図的に生み出すことができる。それがスタディツアーが交流をエッセンスにしている最大の理由です。

私にとって旅とは、単なる趣味・娯楽ではなく、人生を変え、社会を変える可能性に満ちたものです。人々に生きる勇気や希望を与えます。観光による交流は、経済の活性化はもちろん、文化を創造します。また旅は学びの効果があります。旅の学びとは「川を上り、海を越える」ことです。


「川を上る」とは歴史から学ぶこと。あらゆるものを短期的なスパンではなく歴史的な観点でみることです。現代社会はF1レース社会です。猛スピードで走ることができる一方で、視野が狭く、短期的な思考になりがちです。人間の人生よりも長い世代を超えた時間軸で、謙虚に学び取る姿勢が、不確実で流動的な現代にこそ求められているように思います。そして「海を越える」とは世界から学ぶことです。旅をすれば一時的であれその土地の慣習に従わなければなりません。そのことによって内面に複数の世界をもつことができます。地動説的世界観を心の中にもてる機会となります。自己相対化する視点は、固定観念に囚われない批判思考や広い空間軸の中で、今を読み解くことを助けます。


しかし、旅をすれば必ずそれを実現できるとは思いません。事前に期待した「インスタ映え」を確認するだけの旅では、そうした学びには全くつながらないでしょう。旅の何が、人間の「川を上り、海を渡る」考え方にさせるのか、またそれを効果的に引き出す方法があるのかに大きな関心を寄せていて、私の探求の中心もそこにあります。


私自身、消極的で行動力がなかった自分が、旅をすることで自信と成長を手にしてきた実感があり、旅は人を変える力もあるようです。旅は人生を変え、世界を変える力がある、そう信じています。その意味で、観光学とは、観光に従事する人を育成するためと同時に、観光をする人を育成する学問であるべきだと考えます。

私の専門は「観光学」です。観光学の面白さは、わかっていそうで実はよくわかっていない「観光」についてあらゆる学問の観点から探究するところです。学問の世界は、社会学・経済学・経営学・地理学・文化人類学・歴史学・心理学・文学など様々な専門分野が存在しますが、その専門性に囚われず「学際的」であることが観光学の魅力なのです。ある意味で、枠を飛び超える爽快さのある学問です。一方で、歴史も浅く、どっちつかずなふわふあしたもののように形容され、軽い学問と見られがちですが、新たな挑戦的な学問だと私は考えています。


基本な考えとして、私は「旅や観光が、特定の人のためのものではなく、多くの人びとの人生、そして社会を豊かにするものであるべきだ」という考えの持ち主です。研究者の中には、社会的要請とは関係なく「自分がわかる」ことに価値を置く研究者がいます。特に学術的な研究者にはそうした傾向が見られます。私はどちらかと言えば、研究成果を実践の場に役立たせることに強い関心があります。やはり人々の喜ぶ顔が見たいのだと思います。またその逆に現実の生きていることを新たな理論化への橋渡しをすることに興味があります。抽象と具体知と実践の行き来の中で「観光学」をより有用な学問にしていくことに貢献したいと考えています。


一般に、研究者は、学術発表を、論文・書籍・学会発表のかたちでおこないます。それらの機会は、確かな手続きと方法の中で厳密な知識・情報を伝えるためには最良のメディアですが、社会にその知見が還元されるまでには長い時間がかかります。また実務家の中には、専門用語が多用されることの多い論文・書籍・学会発表は、「敷居が高い」と考える方も数多くいらっしゃいます。こうした現状をふまえて、僕は、自らホームページをつくること、学会での知見や研究活動を、なるべく早く、かつ、わかりやすくお届けしたいと考えるようになりました。



このホームページには、僕が関わってきた様々な研究情報、教育情報、イベント情報が、日々、掲載されます。

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「旅をするので休みます」と堂々と言える社会へ
ぜひ共に実現しましょう!


鮫島卓 さめたく 
Taku Sameshima


《連絡先》

駒沢女子大学 観光文化学類 606研究室
東京都稲城市坂浜238 
鮫島 卓
mail: t-sameshima@komajo.ac.jp

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